第6回坂田記念ジャーナリズム賞(1998年)

(敬称略)

第1部門(スクープ・企画報道)

第2部門(国際交流・国際貢献報道)

放送の部

該当作なし

海外研修補助

・産経新聞大阪本社「かがやけ関西」報道取材チーム(代表=笠原昇・編集局次長)
 関西の魅力を見直し輝かせようと1997年から「かがやけ関西!」運動を展開。
 関西がもつ独自性に視点を据え、関西と関わり深い文化人による小学校での「かがやき未来塾」を開催し、21世紀を担う小学生たちに直接語りかけてもらい紙面化したほか、関西 をよくする「100人提言」の毎週月曜日掲載、21世紀の都市のあり方をさぐる座談会、フォーラム、ルボ特集などを展開してきた。編集局を中心に全社的に取組み、2001年まで継続していく予定。

・読売新聞大阪本社文化部記者 朝日義樹・山森雅弘「上方放送お笑い史」
 昭和初期から現在までの放送演芸の歴史を、放送演芸に関わった二百人以上に及ぶ芸能人、現役、OBから面談した上、現存する資料等と照会し、史実として精度の高い連載ものに仕立て、1996年1月から1998年4月まで夕刊芸能欄に掲載した。これまで回顧的な私史が多く、さらには落語、漫才、コメディ等のジャンルに絞られた書が多かったが、上方演芸を「放送」という土俵に乗せて、証言を軸にその全体を俯瞰、通史として読者に示した。

・和歌山放送「和歌山日本一物語」取材・制作チーム(代表=鈴木裕範・報道制作局長)
 地域のメディアは、自らが立脚する地域社会に対して深く関わる役割と責任がある、との考えに立って制作されたラジオ番組。県内にあるミカン等産物 や人物等「日本一」を発掘した。放送は1995年10月から1998年 12月末まで100回を越えた。歴史、自然に恵まれながらも、1998年1月阪和銀行が業務停止命令を受け、毒物カレー事件が発生するなど和歌山のイメージダウンが続くなか、同番組は地域に対して元気と勇気、自信へとつながる役割を果たしている。

・関西テレビ放送報道部記者 早川尚子「交通死~被害者は 二度殺される」
 交通事故死者は年間1万人を超えるが、被害者や遺族には、事故の原因や事実を知らされることなく、不起訴になるケースもある。東京世田谷区の小学2年生がダンプにひき逃げされ、運転手は逮捕されたものの不起訴になった死亡事故と河内長野市の小学生の死亡事故の例から、「証拠を持ってきなさい」とどなられた被害者の両親の悲痛な声をとりあげる一方、「一人の人間としての死」を取り戻すためにはどうしたらいいのかと問いかけながら、事故処理の矛盾、車社会の抱える問題点を追った。(1998年7月8日放送)

昨年の研修

・読売新聞大阪本社「いのち見つめて」取材班(代表=築山弘・生活情報部長)
 生活情報部の森川記者を1998年7月アフリカ中南部のザンビアへ。働く日本人の姿を通して医療の現状を取材した。「命見つめて番外編・ザンビアから」を8月8日紙面から連載。20%を超える乳児の死亡率、飲み水も薬も病院もベッドも足りない現実をレポート、さらに現地NPO日本人が農業指導などで活躍している姿を紹介した。

・朝日放送「北朝鮮による日本人拉致事件疑惑報道」(石高健次・東京支社報道部長)
 石高健次部長は1998年6月17日韓国のソウルへ。IMF経済といわれる韓国経済の落ち込みを各方面で取材。失業の実態は深刻でソウル駅前には多くの職をなくした人々がたむろしている現実を目にし、社会資本投入等の財政 出動などの政府の金融構造改革案などの情報を収集した。

第6回坂田賞授賞理由

第1部門(スクープ・企画報道)

新聞の部

【坂田記念ジャーナリズム賞(1件)】
★京都新聞社「よみがえれ環境」地球環境問題取材班
 代表=田中雅郎・社会部部長代理

推薦理由

 鴨川に飛来するユリカモメが増え、カエルやサショウウオが姿を消していることなど身の周りに起きている自然の異変をさぐりながら、環境ホルモン等有害物質が地球を汚染している実態など地球環境問題に焦点をあて、1997年1月から1998年6月まで朝刊1面で 「よみがえれ環境」を連載した。地球環境保全への市民生活や産業活動での取り組みのほか、環境規制、税制など社会システムのあり方、海外7か国での地球温暖化の現状と取り組みについてルポで紹介。地球温暖化防止京都会議前後には、会議の行方と京都議定書採択後の国内の課題を展望するなど地球環境保全のキャンペーンを展開した。

授賞理由

 選考委員会では「人類に不安を投げかけている環境問題を身の周りから海外へ取材を広げて検証を試み、危機脱出への展望を伝えた」との評価がありました。

放送の部

【坂田記念ジャーナリズム賞(1件)】
★每日放送報道局社会部記者・井本里士
 「ヤコブ病の実態と刑事告発」報道

推薦理由

 「ヤコブ病」は脳細胞が病原体(プリオン蛋白)に侵され急速に意識障害が進行し数年で死に至る難病である。患者の谷たか子さんの夫、谷三一さんは妻の病気が薬害によるものだとして裁判に訴えた。記者は薬害ヤコブ病の実態をいち早く報じるとともに、刑事告発などの動きをスクープした。利益を優先して人命を軽視する薬事企業、危険を放置してきた厚生省、ドイツのメーカーのずさんな実態などを報道、さらに谷さんへの密着取材が許され、ヤコブ病の悲惨な実態、家族の献身的な介護の日々を報じ(98年5月22日)裁判にも影響を与えた。

授賞理由

 選考委員会では「患者・家族、製薬会社、病院、厚生省などの対応を克明に追い、ヤコブ病を薬害として鋭く問題提起した」との評価がありました。

第2部門(国際交流・国際貢献報道)

新聞の部

【坂田記念ジャーナリズム賞(1件)】
★朝日新聞大阪本社「続・核兵器廃絶への道」企画連載 核取材班
 代表=斎藤忠臣・社会部編集委員

推薦理由

 インド、パキスタンの核実験など地球はなお連鎖的な核拡散の危機にさらされている。21世紀を核のない世界にするための道筋を見だすため戦後50年の長期企画「核廃絶への道」(第3回坂田賞授賞)の続編を96年7月から98年9月まで連載した。「裁かれる核」「問われる政治」等5部作、計39回にわたって展開。核実験前のインド、パキスタンを訪問し両国の核政策を予見し、「脱核」を目指すさまざまな市民の行動を報告した。こうした「核」の情報を世界の市民に発信するため連載を英訳本にして出版し、海外の研究機関などに贈り、新しい国際貢献策とした。

授賞理由

 選考委員会では「核をグローバルな視点から市民の問題としてとらえ直し、未来を考える材料を長期にわたり読者に提供し続けた」と評価がありました。

坂田賞一覧