第4回坂田記念ジャーナリズム賞(1996年)

(敬称略)

第1部門(スクープ・企画報道)

第2部門(国際交流・国際貢献報道)

新聞の部

該当作なし

放送の部

該当作なし

海外研修補助

・產經新聞大阪本社編集局「いま日本人のこころ」取材班(代表=柳原正志・社会部長)
 阪神大震災は、人々に多くの悲しみと苦痛を心に残しました。また核家族は老人介護の深刻さを生み、成熟したと思われてきた社会のほころびを縫い合わせるのが次第に難しくなっているようです。人々は何を頼りに生き、どこに希望を見だそうとしているのか、「いま日本人のこころ」のテーマで1年間連載。第1部「やすらかな光を求めて」、第2部「揺らぐ企業社会のなかで」、第3部「結び直すきずな」、第4部「遠くの声に導かれて」、第5部「巡りくる日々を見つめて」、第6部「いつくしむ時を生きて」と57回掲載されました。

・読売新聞大阪本社編集局「阪神大震災実態調査」取材班(代表=岸本弘一・地方部長)
 未曾有の災害から1年。全域をきめ細かくとらえ復興に欠かせない支援内容や被害者の切実な要望を知る必要があると被災者5000人、遺族1000人を対象に取り組んだ実態調査でした。大学の研究者4人の助言を得ながら50の設問を作成、29都道府県で面接調査。順調に復興へ歩む人、住宅問題や収入などで隘路に落ち込んでいる人と二極化が判明。「両親が死んで相続税に追われ再建どころではない」など、現行制度の矛盾も。調査結果は1月11日の朝刊に1面、中面8頁を使って報道しました。

・毎日新聞大阪本社「海外買春に法の網を」の一連の報道
坂口佳代・特別報道部記者

 日本人男性によるアジアでの子供に対する“買春”行為が国内外の批判を浴びています。欧州では「子供の権利条約」に基づく法改正などで対していますが、日本に処罰する規定がありません。そこで坂口記者は刑法の国外犯規定・強制わいせつ罪の適用はできないかと取材続け、7月14朝刊1面で「告訴へ」と低年齢層まで手を伸ばす日本人男性の無軌道ぶりを報じました。その後もフィリピンで被害少女や容疑者本人インタビュー。現地NGOなどの取材を進め、8月にかけ紙面で告発を続けました

・毎日放送報道局「歪みの光景」取材班(代表=梅本史郎・ニュースセンター副部長)
 民間では血のにじむリストラに取り組んでいるのに “官”は既得権益を手放そうとしない。 官益に一部民間の癒着した利権構造。吸い込まれる税金。それらの官の非常識をあぶりだそうと、4月から夕方の報道番組「MBSナウ」の特集「歪みの光景」として取り組みました。取り上げたテーマは、阪神大震災の被災地で他市の水道業者は工事をさせてもらえないという水道工事規制の矛盾や「パチンコカード化の問題点」など平成8年中に17回に及びました。

昨年の研修

・産経新聞大阪本社編集局「新風 アジア発見」取材班(代表=鳥海美朗・社会部次長)
 社会部の市坪和博記者と写真部の奈須稔記者を米国ロサンゼルスへ派遣。多民族・多国籍の選手で構成され、野茂投手で人気が高まった「ドジャース球団」やヒスパニック社会、93年の暴動の後遺症などを取材。その結果は同紙の96年の年間企画「共生アジア太平洋」に生かされました。

・奈良新聞編集局「50年目の日本」取材班(代表=川筋宏・報道部記者)
 平成8年11月川筋記者と田中太一写真記者をインドへ派遣。15日間にわたり奈良県関係者のインドでの活躍を見てきました。さらに弾圧を逃れて移り住むダライラマ14世ら多くのチベット仏教者のいる同国北部のダラムサラーを訪れました。ここで弁天宗(本部・奈良県五条市)が建設に全面協力したチベット仏教の学問寺の完成、落慶法要を取材しました。

第4回坂田賞授賞理由

第1部門(スクープ・企画報道)

新聞の部

【坂田記念ジャーナリズム賞(1件)】
★京都新聞社「学都ルネサンス」取材班
 代表=関根英爾・政経部長代理

推薦理由

 「学びの都」として栄えてきた京のまち。近年元気がなく、大学、企業が厳しい規制を嫌って市外、府外へと流出しています。過去の遺産に安住して新たな魅力ある街づくりを怠ってきた「京のじり貧」ともいわれています。閉塞感の漂う日本の進路とも関わっていますが、世界都市、あるいは関西の一翼を担う京都の課題を浮き彫りにすることによって「知的生産のまち」「学都」の歴史と伝統をどう受け継ぎ、生かして新世紀に向けた都市作りをすればいいのかを考えました。
 第1部「模索する大学」、第2部「文化都市が泣く」、第3部「伝統の灯」、第4部「学研の挑戦」、第5部「海外からの報告」の5部構成で、1月から11月まで計69回の連載を展開しました。そのなかで、将来の道筋を提起して多くの注目を浴びました。

放送の部

【坂田記念ジャーナリズム賞(1件)】
★読売テレビ放送「福永洋一ドキュメント」
 代表=伊豆百合子・報道局専属プロデューサー

推薦理由

 天才ジョッキーと言われた福永洋一氏は17年前にレース中の大きな落馬事故に巻き込まれて重体に陥りました。死の淵からはいあがった福永氏は妻と妻の両親の日夜の助力で少しずつ回復に向かいます。今は一人で歩けるように。華やかなジョッキーから身体障害者へ。妻は小さな二人の子供を抱え、この現実をどう受け止めて生きてゆくのか。まさに不可能なものへのたゆまない挑戦の日々でした。リハビリの姿しか知らない息子は騎手の学校に入り、無事卒業。娘は母、祖父母の姿を見ているうちにリハビリ訓練士になりたいと言いだす。こうした17年間の福永家の様子をカメラで追い、11月11日(月)夜9時~45分間「スーパーテレビ情報最前線 “神が描いた青写真” 騎手福永洋一一家の17年」として放送され、生命の尊さ、人間の存在のすばらしさを訴えました。

坂田賞一覧